【M&D Lab.連載コラム01-4】
今宿晋作の未承認新規抗がん剤シリーズ

第4回
 
ゼヴァリンとエプラツズマブ

一般名:(Zevalin, イブリツモマブ)とエプラツズマブ(Epratuzumab)

再発・治療抵抗性B細胞型悪性リンパ腫の治療に、放射性ヨウ素-131標識(131I)トシツモマブ、イットリウム-90標識イブリツモマブなどの放射性同位元素で標識されたマウス抗CD20モノクローナル抗体の有効性が知られてきた。すなわち、B細胞リンパ腫に対して従来のキメラ型ヒト化抗CD20抗体リツキサン、rituximab)にこれら放射性物質標識抗CD20抗体を併用する治療研究が精力的に進められ、リツキサン単独の効果を上回る抗腫瘍効果が得られる可能性が明らかになっている。
ゼヴァリンはイットリウム-90標識イブリツモマブのことで、リツキサンによるリンパ腫細胞攻撃だけでなく、放射線による周囲の細胞への攻撃作用も期待できる薬剤として悪性リンパ腫の治療に用いられる。アメリカではイブリツモマブが2002年2月、トシツモマブの承認が2003年6月にすでに承認されているが、日本では治験終了後、日本シエーリング社からB細胞性非ホジキンリンパ腫に対する治療薬SHL749(イブリツモマブ)として承認申請が出されている段階である。本剤はオーファンドラッグの指定を受けているため、申請から1年程度で承認される可能性があるのではないかとされている。
本剤による治療『投与方法』の概要は以下のようになる。ゼヴァリンは点滴静注薬で、この薬が使用されるのは、リツキサンとの併用としてだけである。以下の 2 ステップのプロトコールに従って投与する。ステップ 1 : リツキサンをゆっくり点滴する(通常の点滴時間は 4〜6時間)。この点滴が終了後 4時間以内に、放射性の追跡用物質(トレーサー)を注射(静脈へ 10分間かけて)する。その後、131Iを用いた全身の放射線スキャンを、2〜24時間、48〜72時間、場合によって 96〜120時間に実施する。これは、薬の身体全体への分布を確認するためである。この結果、骨髄への取り込みがなければ、ステップ 2 へ進む。ステップ 2 : ステップ 1 終了から 7〜9日後に、リツキサンをステップ 1 と同様にして点滴する。リツキサン点滴の終了後 4時間以内に、ゼヴァリンの必要治療量を 10分間かけて点滴する。

ゼヴァリンの『副作用のうち高頻度なもの』としては血球減少であり、これにより、感染症、貧血、出血のリスクが増大する。『副作用のうち稀だが重要なもの』としてはリツキサンとの併用メニューによる治療で、重症の点滴反応が起きることがある。これは最初のリツキサン点滴の間、又は、ゼヴァリン点滴後 30〜120分後に起きるので注意が必要である。また、放射性物質である為、強い骨髄抑制が出るので化学療法との併用は避ける。あるいは悪性リンパ腫細胞の骨髄浸潤の強い例は治療適応にならないといった注意点がある。

もう一つの新しいBリンパ腫治療薬としてエプラツズマブ(Epratuzumab)がある。 これはヒト化抗CD22IgG1抗体である。リツキサンとの併用で治療抵抗性・再発悪性リンパ腫の治療に用いられる。CD22は濾胞性リンパ腫および彌慢性大細胞型Bリンパ腫(DLBCL)の82-99%に発現している。CD20を標的としたリツキサンとの併用により抗リンパ腫効果が相乗化されると考えられる。このプロトコールでは本剤は360mg/m2を60分以上かけて点滴静注し、続いてリツキサン365mg/m2を点滴静注する。この組み合わせを週1回、計4週間投与する。リツキサンの作用機序とエプラツズマブのそれは若干異なるという。リツキサンに抗ヒトIgGFcγ抗体を併用するとヒトリンパ腫細胞の増殖を著明に抑えるが、エプラツズマブにはそのような作用はなく、一方、抗IgM抗体で刺激するとエプラツズマブは増殖抑制に働くがリツキサンは働かない。抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)はエプラツズマブで働くという。
一方で、周知のようにB細胞は多くの自己免疫疾患の発症に関与しており、自己免疫疾患に対するリツキサンの有効性については以前に述べたことがあるが、エプラツズマブも全身性エリテマトーデス(SLE)シェーグレン病などに有効性が認められている。SLEやシェーグレン病に対する治験ではエプラツズマブは1回量360 mg/m2を2週毎に計4回投与され6ヶ月間の追跡で有効と評価されている。エプラツズマブの副作用はリツキサンのそれに準ずる。

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